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「帰らないよ。」
「わからないじゃない!」
「違う。俺達が、ってこと。」
口をポカンと開けて絶句している蜜に禅はニッコリ微笑んだ。
家族はまだ、『帰らない』ではなく、俺達が『帰らない』?
俺達?
「私も!?」
やっと動いた口で、言いたい事を山ほど抱えた頭で、口から出た言葉はそれだけだった。
「もちろん。」
事もなさげにサラリとそう言った禅は、ベッドに座って固まっている蜜を抱き抱えるようにして再び横たわらせた。
「ちょ!」
「疲れただろ?俺も慣れないことして流石に疲れたよ。飯の時間まで休もう?」
とんでもない事を言い出した禅を再び絶句して見つめる。
「ほら、もっとこっちおいで。」
ぐいっと引き寄せられてあっという間に禅の胸の中にしまいこまれてしまった。
そしてはたと気付く。
こんなことしてる場合じゃない!
誰かが帰って来る前にかえらなくちゃ!
慌てて起き上がろうとしたその時だった。
「イダーッ!!!!!」
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