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「歩いて平気なの?」 禅が何かを言う前に姉が口を開いた。 「はい。スミマセン、留守中にお邪魔しちゃって。」 「やだ!そんなこと気にしなくていいのよ!それよりちょっと診察しましょうか?禅と違って現役だし。」 まるでその大きなお腹などないようにスタスタと蜜に歩み寄る。 「いえ!大丈夫です。本当に。それより私はもう帰りますからどうぞユックリしてください。それでは失礼します。」 蜜はニッコリ微笑むと軽くお辞儀をして、その態度とは真逆のぎこちない歩き方で階段を降りようとしていた。 「おっと!」 階段の手摺に手をかけてまさに一歩踏み出そうとした瞬間、その体がフワリと浮いた。 「うわっ!」 蜜が奇声をあげた時、その体は既に禅の腕の中にあった。 すぐ側にはニヤニヤ笑う姉の美和。 蜜は目を逸らすこともできず、明らかな作り笑いをしながらこの状況をどうしたものかと考えていた。 せっかく綺麗にまとめてさっと帰ろうと思っていたのに! お姉さんの前でお姫様抱っことかあり得ないし! つーか、どうする?この状況。 しばらく無言で作り笑いを浮かべていると、階下から足音。 そしてやってきたのは美和の夫の拓人だった。
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