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「それは?」 「それは・・・」 勢いでそう言ったものの、続く言葉が出てこない。 それは・・・ それは・・・ それは・・・わかりません! 理由なんてない。 だけど、だけどね・・・? 「なんだかわかんないけど自信がっ・・・ないんだもん!!!」 素直に気持ちを口に出したら、驚くほど府に落ちた。 自信がない。 そうだ。 自信がないんだ。 多分、あのことが起きるもっともっと前から。 自分へのコンプレックスとか。 兄たちに対する劣等感とか。 そしてあのことがあって決定的になった。 いや、違うかも。 自分、という存在だけで勝負できなかっただけ。 ひとりで立つ自信も。 ありのままの自分で愛される自信も。 誰かに寄りかかりたかった。 依存することを愛することと勘違いしてた。 自業自得だったんだ。 悲しみも、苦しさも、全部本物だった。 だけど・・・ それを口実にしてたんだ。 どうしてあんなことになったかなんて考えもしなかった。 自分の根本的な弱さが元凶だったなんて・・・ 考えもしてなかった・・・
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