5

109/194

15836人が本棚に入れています
本棚に追加
/1073ページ
「そ、そうそう!着替えたら行くから!」 「ハニーちゃんは?」 「一緒に行くから!大丈夫だから!」 「ぼく、待ってる。」 海人のその言葉にチラリと蜜を盗み見れば、頬をピンクに染めて瞳を潤ませ、まだボーッとしている。 「ハニーちゃんはちょっと具合が悪いんだよ。とりあえず着替えたらオレだけ降りるから、ママにそう言って来てくれると助かるんだけど?」 内心ヒヤヒヤしながらも海人にニッコリ微笑む。 頼む!こっちに来るんじゃないぞ! 素直に下に降りてくれ! 禅の心の叫びが届いたのか、海人は「いいよ!」と素直に部屋を後にした。 「はぁぁぁ。」 大きくため息をついてホッと胸を撫で下ろす。 すっかりそんな雰囲気ではなくなってしまって、内心相当ガッカリしながらも仕方なくベットから降りた。 「ハニーちゃん、大丈夫?」 「・・じゃない・・。」 「え?」 「ダイジョブ、じゃない。なんかスゴく熱くて、頭がボーッとして、上手く力が入らない。ちょっと休ませて?」 潤んだ瞳で真っ直ぐ禅を見つめる眼差しに、一度は萎えかけた気持ちがムクムクと沸き上がってくる。 可愛すぎるだろ・・・ この状況で何もしないでいられるのは仙人だけだ。 フェロモン全開、正しく女の顔をした蜜から目が離せない。 やっぱ我慢するなんて無理! 片膝をベットについて、まさに覆い被さろうとしたその時、階下からの大声が扉越しに響いた。 「ぜーん!がっつくなって、いってんでしょーがぁっ!早く降りてきなさーいっ!」
/1073ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15836人が本棚に入れています
本棚に追加