15847人が本棚に入れています
本棚に追加
呆然と肩を落とす大地を見て、勘は仕方ない、と説明してやった。
蜜は犬用の肉を焼いていた事。
犬に玉ねぎは厳禁な事。
犬に肉を食べさせる許可が出て有頂天で禅を引っ張って行った事。
勘に説明されて大地の顔に笑みが戻った。
「なんだ。蜜は禅さんじゃなくて犬が好きなだけって事じゃん。」
「今はな。」
「え?」
勘はニヤリと笑って大地の肩に手を置いた。
「10年ぶりに本気になったアイツは手強いと思うぞ。」
「俺だって久々に本気になりますよ。」
大地は勘の手を払いのけると睨みつけるように言った。
おぉ怖い、と勘はニヤニヤしながら軽く両手を上げて降参のポーズをとる。
「ま、俺は蜜ちゃんの味方だから。どっちでも構わないよ。」
「嘘つけ…絶対禅さんの見方のくせに。」
「いや、本気。蜜ちゃんが泣くような事があれば尚が泣くからな。」
大地は一瞬向こうの尚を見てニヤリと笑った。
「思い出しましたよ。尚ちゃんにも確か会った事あるんです。高校の頃。」
勘は無言で片方の眉を上げて大地を冷ややかな目で見る。
「そうか。さぞかし可愛かっただろうな。」
「めちゃくちゃ可愛かったですよ。ミニスカートの制服にルーズソックス。」
どや顔の大地に顔を近づけて勘はにこやかに言った。
「お前の言う通り、俺はやっぱり禅の味方だ!」
最初のコメントを投稿しよう!