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「えっ!?」 予想外の行動に思わず大きな声が出てしまった。 海人の思う女の子の起こし方ってキス?? 海人のキスに反応したのか、はたまた禅の声に反応したのかはわからないが、ゆっくりと蜜が目を開ける。 目の前の光景に何一つ理解出来るものがない蜜はただまばたきするしかなかった。 目覚めてみたら、知らない部屋。 目の前には満面の笑みを浮かべた少年。 この子誰? つーか、ここは何処? 「おはよ!ハニーちゃん!」 ハニーちゃん?あぁこれは夢か。でもなんで私の夢に子供の頃の禅ちゃんが出てくるわけ? 「海人、ベッドから降りて。ハニーちゃんが固まってる。」 あぁなんだかすごくリアルな夢。今度は大人の禅ちゃんが出て来た。 「おーい!ハニーちゃん?寝ぼけてる?まだ酔ってるのかな?」 今度は禅が枕元に座って私の額にかかる髪をかきあげている。 「へんな夢。」 蜜の口から出た言葉に禅は大笑い。 しばらく笑った後、にっこり笑ったかと思うと、さっと蜜の背中に手を入れると一気に引き起こした。 「おはよ。何か飲む? あぁ、一応言っておくけど夢じゃないからね。」 夢じゃない? どうりでリアルだと思ったよ…。 じゃなくて!!! 「夢じゃないの!?」 「ねぇ!ぜんにぃちゃんばっかりズルいよ!僕にもお話させてよ!」 ニヤリと笑う禅の脇からぽすんとベッドに飛び乗る子供に目を奪われる。 「え?子供の禅ちゃん?あれ?やっぱり夢?」 子供と禅を交互に見つめ必死に状況を把握しようとするが、ダメだ…全然わからない。 考えれば考えるほど混乱する。 「ハニーちゃんはじめまして!僕、せりざわかいと、年中さんです!」 「せ…りざわ、かいと君?」 禅は海人をひょいと抱えてベッドから下ろすと、蜜に手を差し伸べた。 無意識に手を取ると引かれるままにベッドから降りて立ち上がる。 「やっぱりハニーちゃんのが全然デカいな。ゴメンね。」 「はい?」 「こいつが甥っ子の海人です。入院してる姉の息子。」 入院してる姉… 甥っ子 年中組 「ああっ!私が間違えられた幼稚園児?」 禅は明らかに笑いをかみ殺して無言でコクコク頷いた。 .
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