佐藤くんと鈴木くん

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『小麦粉か何かだ』 誰かがその言葉を吐いた。 その言葉が今でも僕の頭の中で反芻されている。 「……──小麦粉か何か、か」 とりあえず言葉にしてみるけど、何なのかわからない。 小麦粉か何か……。 小麦粉、小麦粉、小麦粉、小麦粉、小麦粉、小麦粉、小麦粉、小麦粉……。 「……」 ──ダメだ! 小麦粉か頭にこびりついて小麦粉以外のものが思い付かない! 落ち着け、落ち着くんだ、オレ! そうだ! まずは深呼吸とかして落ち着こう! 「ひっひっふー、ひっひっふー」 僕はこの呼吸の仕方を三回繰り返す。 ──よし! たぶん、さっきの深呼吸(?)で頭も落ち着いたはずだ! 「……ええーと」 何を考えていたんだっけな? まずいなー、僕は何を悩んでいたのかわからなくなった。 そして、なんの為に深呼吸(?)をしたのかがわからない。 ラマーズ法についてだっけ? いや、それはちがうなー? えーと……。 ──……思い出せない。 思い出せないということは大したことではないんだな、うん。そうに違いない。 もう、寝る時間だし、寝よう!
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