少年恋し易く 学なり難し

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少年恋し易く 学なり難し

   後ろ頭が、好きだ。  いや、そうじゃなくて。後ろ頭も、好きだ。  2ヵ月前までは横顔が最高だと思ってたけど、こうやって見てると、後ろ頭こそ。  黒に近い焦げ茶色の髪の毛の先が、時々、さらさらと動くのが可愛い。  たまに、ちらりとのぞく薄っぺらい耳が可愛い。  丸っとした頭の形も可愛い。  手元のノートから黒板へ視線を移す時、ぴょこんと小さく動くのが可愛い。  窓の外を眺めてる斜め後ろっていう角度も可愛い。  可愛い。可愛い。  いつも思う。  そのせいで、僕の授業中の口――考え癖は「可愛い」になってしまった。  いつも思いながら、見てるからだ。  おかげで、居眠りをすることはなくなったけど。  ぼんやり(あんまり真っすぐ見つめてるわけにもいかないので!)しているのが結構目立つせいか。  どの授業でも、あてられる回数が多くなってしまった ような気がする。  それでも、僕は懲りずに。  可愛いと思いながら、見つめる。  バレないように、こっそり。ぼんやり。  いつか、また、隣の席になった時には。 「消しゴム貸してくれない?」  くらい、言えるようになっていたいものだ。  
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