カウントダウン

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   こうやって初詣にやってきてる人の中には、俺と同じようにウジウジ悩んでる奴もいるのかな。  ――いるんだとしたら、互いに励まし合いたい気持ちでいっぱい。  誰でもいい、誰か背中を押してくれ、みたいな。  その瞬間。  すぐ後ろに並んでた人が。  どすん。  俺の背中に、ぶつかった。  ぐらり、小さくバランスを崩す。 「あ、あの、さ、」  寒さを吹き飛ばすくらい、ドキドキして。  思い切って、振り絞った声は震えてたたけど。  背中も押してもらったし。  遠くで、カウントダウンの声も聞こえるし。  今を逃したら、もう一生言えないんじゃないかっていう、絶好のチャンス……のような気がして。  5円がキリキリ手のひらに食い込むくらい、全身に力を入れて。  告白、した。 「……手、繋いでもいい?」  
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