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午後4時の虹
初めて、あっちゃんの家でお風呂を借りた。
いつも、あっちゃんが使ってるシャンプーで髪を洗って。コンディショナーをべっとりとつける。
あっちゃんの洗顔フォームを泡立てて、あっちゃんのボディソープで体を包むと。
もわっとした湯気と一緒になって浴室に立ちこめる、あっちゃんの匂い。
近付いた時にほのかに香る、あの匂いを濃くしたものが、今、ここにある。
白い泡は、あっという間に流れていって消えていくけど。
うっすらと移っている。髪の毛に、首元に、腕に、お腹に、脚に。
この程度で、あっちゃんに包まれてるようだ……と思える程はおめでたくないけど。
きっと、鼻をくすぐって、あっちゃんを思い出させてくれるだろうとは、思える。
ざぁざぁと流れるシャワーを止めたら、あっちゃんのバスタオルに顔を埋めて。
ぎゅっと抱き締めよう。
告げられない想いを、充分に込めて。
突然降り出した予報はずれの雨と、歩道側の水溜まり。
それに、歩行者にお構いなしで脇を走り去っていった某運送屋のトラックに感謝。
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