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恋のかたち
よっちゃんは、知らない。
だから。
僕に優しい。
友達として。友達の1人としてだったら。
きっと、ずっと一緒にいられる。
毎日のように会えるし、いつだって電話できるし、気安く肩だって叩ける。
よっちゃんの好きな――よっちゃんがちょっといいなと思ってる人は、当然のように僕とは全然違うタイプで。最初から望みなんてない。
僕の気持ちだけ、なかったことにしていれば。
すべてが、うまくいく。
でも。
僕の恋がいらないものなら。
よっちゃんの傍にいたい理由がなくなって。
僕には、何にもなくなる。
よっちゃんの、左右が微妙にズレてる眉毛が好き。茶色がかった目が好き。低い鼻が好き。ぽってりした唇が好き。薄っぺらい耳たぶが好き。
ちょっと堅そうな首筋も。浮き出た鎖骨も。ひょろっとした腕も。頼りなさそうな背中も。短い脚も。
よっちゃんの髪の毛1本にもドキドキできる、この想いが、無駄なものなんだとしたら。
飛び上がりたくなるような嬉しさも、どん底に沈んでいたくなるような悲しみも。
何もかも全部が、消えてしまう。
でも。
よっちゃんに嫌われてしまうくらいなら。
僕の幸せや不幸せ、色んな感情なんか、なくなってもいいかもしれない。
よっちゃんの声を聴いただけでほっとしたり、よっちゃんと同じ匂いがしただけでドキッとしたり、よっちゃんに触られた腕がいつまでも熱かったり。
大切にしたいのは、よっちゃんと一緒にいられるっていうことで。
こんな、僕の気持ちじゃない。
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