29人が本棚に入れています
本棚に追加
塚本
「一つ間違えたら逆に殺されていたぞ」
塚本は純二の無鉄砲さを注意した。
純二
「すみません、なおみちゃんを助けようと、無我夢中だったもんで…」
なおみ
「ありがとう、助けてくれて」
純二
「いや~~仕事だから」
純二は照れを隠せないようす。
塚本
「西田、送ってやれ」
西田
「はい!じゃぁ行こうか」
西田はこの時を待っていたとばかりに、張り切って返事をした。
なおみ
「うん…」
しかし、なおみの体は緊張で言うことを聞かない。そうとは知らず、西田は先へ進む。
なおみ
「に、西田さん待って」
西田
「どうしたんだよ」
なおみ
「足が…ガクガクしちゃって、歩けない」
塚本
「余程怖かったんだな。かわいそうに」
純二
「じゃぁ俺が車で送ってやるよ」
と、言ってなおみを軽々抱き上げて車に乗り込んだ。
西田
「こらっ、竹本!ずるいぞ!待て!」
西田の声にも構わず、純二は無視してなおみを助手席に乗せ、車を走らせた。
なおみは西田の事が気になって、後ろを振り返った。
なおみ
「西田さん、追い掛けてくるよ」
純二
「大丈夫だよ。追いつけやしないよ」
なおみ
「竹本さんって強引な人なのね」
純二
「そうか?」
純二はとぼけて言った。
しばらく走って…
純二
「どう?緊張取れた?」
純二が心配そうに聞くと、
なおみ
「う、うん。まだもう少し…」
本当はもう大丈夫なのだが、少しでも長く純二と一緒にいたかったため、そう言ったのだ。
純二
「それじゃぁいいところへ連れてってやるよ」
なおみ
「えっ?どこ?」
純二
「静かないい所。すぐよくなるよ」
なおみ
「…うん」
なおみは期待しない返事を返す。そんな事より、また純二に迷惑かけた事を気にしていた。
なおみ
「…」
純二
「どうしたの?黙り込んで」
なおみ
「また竹本さんに迷惑かけたなぁって思って…」
純二
「何言ってるんだよ。そう悲観的になるなよ。それ、なおみちゃんの悪い癖だよ。今回は仕方ないんだし、前の事だって何とも思ってないよ。気にするなよ」
純二はなおみを慰めるように言った。
なおみ
「気にするなと言われても…でも…」
最初のコメントを投稿しよう!