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純二
「ほら、着いたよ」
そこは、もう間もなく陽が沈もうとしていた海岸であった。
なおみ
「わぁ~海。夕陽がきれい。浜に出ていい?」
純二
「ああ。ここに来た事、みんなには内緒だよ」
なおみ
「うん。潮風が気持ちいいっ。竹本さんの言う通りね、もう平気よ」
純二
「そう、よかった」
なおみ
「ありがとう」
純二
「いやー」
純二は照れて頭をかく。それをなおみが見逃さなかった。
なおみ
「うふふふ、かわいい、テレてる」
そう言ってなおみは、浜辺を走り出す。
純二
「調子に乗って大人をからかうんじゃない!コラッ、待て~!」
純二が叫びながらなおみを追い掛ける。
なおみ
「悔しかったら捕まえてみなさいよ」
純二
「よ~し、待ってろよ。捕まえるのは俺の仕事だからな」
純二はなおみを捕まえようと、なおみは純二に捕まるまいと必死出ある。
が、しかし、あっさり捕まってしまう。
純二
「ほら、捕まえた」
なおみ
「はぁはぁ、やっぱり鍛えてる人は違うなぁ」
純二
「そうだよ、いつも犯人捕まえるのに走ってるからね」
純二は、なおみを後ろから抱きしめ、耳元で囁く。自分でも気がつかないうちに、なおみの事を好きになりかけていた。
純二
「…彼氏いないって言ったよな。俺が君の彼氏に立候補してもいいかい?」
なおみは純二の言葉に驚いて振り向く。
なおみ
「えっ?本気なの?」
純二は自分が言った言葉に自分で驚き、慌てて言い訳をする。
純二
「…じょ、冗談だよ。1週間前に会ったばかりなのに、そんな気あると思う?」
なおみ
「からかったのね!女心をもてあそんで、気を持たせようなんて!最低!」
純二
「さっきかわいいって言った仕返しだよ」
と、子供っぽく、あかんベーをしながら言った。
なおみ
「もう!知らないっ」
なおみとしては彼氏に立候補すると言われて嬉しかったのに、それを冗談にされてしまって、残念がった。そして、女心を弄んだことを怒っていた。
純二
「ごめん、悪かったよ。どうしたら許してくれる?」
なおみ
「そうね…今まで私が竹本さんに迷惑かけたこと、全部チャラにすること」
向こうが冗談ならこっちも、という感じで、ふざけたことを言う。
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