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なおみ
「それじゃぁお仕事頑張ってね」
純二
「ああ、ありがとう」
しばらく後ろ姿を見送っていたが、ふと思い出したことがあった。明日はデートの約束の日、なおみの誕生日である。純二は慌ててなおみを呼び止めた。
純二
「明日の事なんだけど、9時頃迎えに行ってもいいかなぁ」
なおみ
「うん。本当にどこか連れてってくれるの?」
なおみは嬉しそうな顔をして、もう1度確認した。孝行はそんなうれしそうななおみの顔を見たのは初めてだった。孝行は仲のいい2人を見て嫉妬した。孝行もなおみの事を好意を持って見ていたのだ。
孝行
「なんだよ、2人でコソコソしちゃってさ。いつの間にそんなに仲良くなってたんだよ。この俺を差し置いて」
なおみ
「誕生日のプレゼントにデートしてって頼んだの」
なおみは満面の笑みで、嬉しそうに言った。
孝行
「なんだよそれ。誕生日っていつだよ」
なおみ
「明日」
孝行
「えー!?じゃぁ俺たちも何かしなきゃ」
なおみ
「いいわよ、そんなの。気持ちだけもらっとく。それじゃぁ竹本さん、明日ね」
純二
「ああ、気をつけて帰れよ」
なおみ
「は~い」
2人は純二に別れを告げ、夕焼けの中を帰って行った。
次の日、なおみは純二とのデートが嬉しくて上機嫌である。
英雄は不思議そうに良子に聞いた。
英雄
「今日はどうしたんだ?なおみのやつ」
良子
「今日は竹本さんとデートなんですって」
英雄
「竹本くんと?この間は西田くんだったな。なおみは一係の人に人気があるんだなぁ」
良子
「今度はなおみから誘ったそうよ」
英雄
「なにっ?なおみから?」
親心から、心配になって聞いてみる。
英雄
「なおみは竹本くんが好きなのか?」
なおみ
「そういう訳じゃないけど、竹本さんみたいな人と1度デートしてみたかっただけよ。ちょうど誕生日だしね。プレゼントにって」
そこへ純二が迎えに来た。
純二
「おはようございます」
なおみ
「あっ、来た。いってきます」
なおみが嬉しそうに純二を出迎え、挨拶を交わす。
なおみ
「おはよう、竹本さん」
英雄
「何か知らんがまた世話になるな。よろしく頼むよ。これは今日の経費だ。使ってくれ」
そう言って英雄が純二に2万円を差し出した。
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