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純二
「そんな、いいですよ。今日の分は僕からなおみちゃんへの誕生日プレゼントなんですから。じゃ、行ってきます」
2人は車に乗り込んだ。
純二
「どこへ行こう?」
なおみ
「遊園地がいい。それとこの間行った海」
純二
「よし、任せとけ」
まず遊園地へ行って、その後海へ。なおみはこの間行った海がかなり気に入っていた様子だった。
海。波が打ち寄せる音が聞こえる。
辺りはまだ太陽がギラギラしている。夕焼けにはまだ少し早い。
なおみ
「やっぱり海っていいよね。心が落ち着く」
純二
「ああ」
なおみ
「まだ夕陽には早いから、この間みたいに少し遊ぼうよ」
純二
「よ~し、あの岩までどっちが早いか…」
海岸の近くに、海に突き出た岬がある。その岬の下が遊歩道になっていて、その入口まで競争しようというのだ。
なおみは純二が話し終えるまでに、既に走っていた。
純二
「こらーっ!ずるいぞ!待てーっ!」
逃げるなおみ、しかし遊歩道の入口に着く前に捕まってしまった。
なおみ
「キャッ、また捕まっちゃった」
2人が見つめ合う。夕陽が落ちはじめ、2人の顔を染める。なおみはこの間の、背中から抱かれたことを思い出し、照れてうつむく。そしてその場をごまかそうと、辺りを見回す。すると、桜色の綺麗な貝殻を見つけた。
なおみ
「あっ、綺麗な貝殻。ねぇ見て」
純二
「ほんとだ」
その様子をどこからか見ていた男たちがいた。この間の強盗殺人未遂で逮捕された犯人の共犯者であった。彼らは兄弟でもある。事前に純二のアパートを調べ、後を付けてきたようだった。
男1
「あいつだ。兄貴を撃ったやつ」
男2
「隣にいるのはあいつの女か?」
男1
「よしっ、あの女を誘拐しよう。この怨み、思い知らせてやる!」
そして今度はなおみの事を調べはじめた。
純二
「なおみちゃん、もうすぐ陽が落ちるよ」
なおみ
「うわぁ、きれいっ」
しばらく夕陽に見とれていた。そしてふと、なおみが聞く。
なおみ
「ねぇ竹本さん、もし私に彼氏が出来たら、その彼とこの海に来てもいい?」
純二
「えーっ、どうしようかなぁ」
純二がとぼけたように言う。それに対してなおみが甘え声で念を押す。
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