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なおみ
「ねぇ、いいでしょ?」
純二はなおみの甘い声に負け、承諾する。
なおみ
「さすが竹本さん。ありがとう」
純二
「陽が落ちるとすぐ暗くなるからもう帰ろう」
なおみ
「うん」
純二は車を走らせながら、署に寄りたいことをなおみに伝えた。今日の事件の状況が気になっていた。
なおみ
「竹本さんもやっぱり刑事ね。事件の事、気になるんでしょ?」
純二
「そうなんだ。俺の親父もね、刑事だったんだ。だから、昔からの習慣だよ」
なおみ
「だったって?」
純二
「5年前に殉職したんだ」
なおみ
「えっ!?ご、ごめんなさい、変な事聞いて」
純二
「いいよ」
なおみは気にしてずっと黙ったままだった。
2人が港署に着いたのはそれから15分くらいしてからだった。
純二
「こんばんは」
岩崎
「よっ、ご両人!今日は楽しかったかい?」
なおみは前日の土曜日に、自分の誕生日とは言わずに、純二とデートするとだけ話していた。岩崎に聞かれて、最高に楽しかったと、笑顔で笑った。
一係のみんなは、なおみの事を本当の娘や妹のように思っているため、嬉しそうななおみの笑顔を見ると、ホッとするようなのだ。
しかしいつもながら、西田の目にはよく映らない。
西田
「今日はなんだよ。わざわざ見せびらかしに来たのか?」
西田はふてくされて、純二に向かって言う。
純二
「何言ってるんですか。今日のは誕生日だからプレゼントに遊びに連れてってやっただけなんですよ」
西田
「誕生日?誰の?」
なおみ
「私のよ。今日で16歳になったの」
西田
「ええーっ!!」
みんな
「おめでとう」
なおみ
「えへへ、ありがとう」
岩崎
「このこの熱いね~」
純二
「違いますって。今日は事件の事が気になって寄ってみただけです」
野村
「今日はこれといって事件はなかったが、気になることが1つあった」
野村は、この間の事件に共犯者がいると説明した。
純二
「共犯者?」
野村
「また明日から捜査だ。今日はゆっくり休め」
純二
「はい」
なおみ
「竹本さん、お腹すいちゃった」
純二
「じゃぁ飯食いに行こう」
なおみ
「うん」
2人は港署を後にした。車を走らせながら、どこかおいしいレストランはないかと探している。
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