第1章 運命の出会い

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2人の出会いは、なおみが高校1年の2学期最初の日曜日だった。親友のこずえと歩行者天国でショッピングしていた時、なおみは運命的な出会いをした。 こずえ 「きゃー、カワイイ服!見て見てなおみ!」 なおみ 「ほんと!こずえ、着てみたら?」 こずえは、レースの付いた花柄のスカートを持って、試着室に入った。着替えてみると、ウエストが入らない。 なおみ 「どう?こずえ、はけた?」 なおみが試着室の外から、カーテン越しに話しかけた。 こずえ 「だめー、入らない」 こずえは、手でスカートを押さえ、カーテンを開けて店員を呼んだ。 こずえ 「すみませ~ん、この形で大きいサイズないですか?」 店員 「申し訳ありません。このサイズしか…」 店員は、申し訳なさそうな顔で、大きいサイズがないことをこずえに知らせる。こずえは残念がってその店を後にした。 別の店へ行ってみたが、またサイズがない。基本的にダイエットをしなければいけないようだ。 それから同じような店を4、5軒回ったが合うものは1つもなかった。 そうこうしているうちに、お昼の鐘がなった。 こずえ 「ねぇ、お腹すかない?」 食いしん坊のこずえが言った。 なおみ 「うん。マック行こうよ」 こずえ 「賛成!」 外のテーブルで機嫌よく頬張っている。 天気はいいけど、ちょっと暑いので、パラソルをさして座っている。 相手が友達ではなく、恋人だったら…と、2人はお互いに思っているに違いない。 なおみ 「おいしいね」 なおみが満足そうに言うと、 こずえ 「うん。また太っちゃう」 と、こずえ。全くその通りである。 こずえはいつもなおみの1.5倍を食べる。 なおみたちは、テーブルや椅子の上に鞄を置いたままだった。人通りも多いし、まさか盗まれるとは全く思っていなかった。 すると、サングラスにマスクの男が走ってきて、鞄を盗んで走り去ってしまった。 なおみがそれにすぐ気が付き、大声で叫んだ。 なおみ 「あっ、泥棒!!」 食べかけのハンバーガーを慌ててテーブルに置き、追い掛けて行く。 こずえ 「誰かー!あの人捕まえて!」 こずえも叫びながらも、手にはしっかりハンバーガーとシェークを持ったまま、マスクの男を追い掛ける。
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