第1章 運命の出会い

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すると、スラッと背の高い男性(純二)がなおみたちに気づき、逃げて行った男を追った。 しかし、マスク男は150m走った所でつまづき、呆気なく捕まった。 犯人を追った男性が鞄を取り戻して、なおみたちに駆け寄ってくる。 純二 「はい、どうぞ」 なおみ 「あ、ありがとうございました」 こずえ 「助かりました。本当にありがとうございました。」 純二 「いえ、仕事ですから。今日は非番だけど」 彼は城西署の刑事だった。 なおみ 「仕事って、ひょっとして刑事さん?」 純二 「ええ、城西署に勤めているんですが、今度転勤で…」 そこへ、目撃者の通報を受けて、警官2人が犯人を連行するためにやってきた。 警官 「あっ、竹本刑事、ご苦労様です。こいつですか?引ったくりは」 純二 「ああ、あとは頼んだよ」 警官 「はいっ」 それから、なおみたちの方へ向き直して、一言注意した。 純二 「君達、これからは気をつけるんだよ」 なおみ 「はいっ」 純二 「それじゃ!」 なおみは、自分では気がつかないうちに、純二に一目惚れしたようだった。このまま別れたくなかった。なんとか引き止めようと言葉を探したが、純二はもうすぐ人込みに消えようとしていた。なおみはこずえと一緒に行動している事も忘れ、必死に追い掛けた。 なおみ 「あ、あのー、お名前教えていただけますか?お礼…」 純二 「お礼なんていいよ。仕事だから」 なおみ 「でも…今日はお休みだったんでしょ?」 純二は困った顔をしていたが、なおみがそれに気づき、一礼をして純二に謝った。 なおみ 「あっ、ごめんなさい。困らせるつもりじゃなかったんです。すみません」 純二 「…いいよ。俺、竹本純二っていうんだ。それじゃ」 なおみ 「あ、ありがとう…」 この時なおみは、純二に対して運命的なものを感じた。 なおみに置いて行かれたこずえが、なおみを追い掛けてきた。 こずえ 「なおみ!なおみってば!」 なおみ 「えっ、なに?」 こずえ 「なにじゃないわよ。どうしたの?突然いなくなるんだもん」 なおみ 「ごめん、なんでもない」 なおみは、心の中で純二のかっこよさを見て、また会いたいと思い、いつまでも見送っていた。
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