第1章 運命の出会い

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あいつとは、同級生の竹本孝行の事である。二人は幼なじみということもあって仲がいい。 港署一係、午後5時。もうすっかり歓迎会の準備も整っていた。 英雄 「邪魔するよ」 藤本 「あっ、署長。お忙しいところ……」 西田 「あれ?署長、なおみちゃんは?」 早く憧れのなおみに会いたい西田は、いつもなら英雄の後ろについて来るはずの、なおみのことを心配していた。今日は孝行を誘っているので、時間に遅れたのである。 英雄 「ああ、なおみならもうそろそろ来ると思うんだが…」 しばらくして…。 なおみ 「こんにちは、遅くなりました」 西田 「なおみちゃん、久しぶり!最近ちっとも来てくれないから。この間の事まだ怒ってる?」 なおみ 「西田さん、…怒ってるんじゃなくて、西田さんに会うのが照れ臭いだけで…」 西田 「よかった。嫌われてるんじゃないんだ」 なおみ 「…うん」 なおみは以前、西田に頼まれて一度だけデートしたことがある。もっともそれは強引にだが、その後、西田に告白され交際を申し込まれたが、断っていた。 しかし、西田は諦めていない。 その時、純二がなおみに気がついて声をかけた。なおみは驚いて振り向くと、そこには純二が立っていた。 純二 「やぁ」 なおみ 「あっ、竹本さん!どうしてここに?」 純二 「今日から港署勤務になったんだ」 なおみ 「よかったぁ、また会えた。あっ、昨日はどうもありがとうございました。私、北原なおみと言います。これ、よかったら食べてください」 なおみは、今日城西署へ持って行ったクッキーを改めて純二に渡した。 純二 「あ、ありがとう。北原というと……」 英雄 「私の娘だ」 純二 「ええっ!そうだったんですか」 純二となおみが顔見知りなのを知って、西田は二人の関係が気になり、なおみに聞いてみる。 西田 「なおみちゃん、こいつの事知ってるの?」 なおみ 「うん。昨日引ったくりにあっちゃって、それを助けてくれたの」 そこへ孝行が入ってきた。孝行もよく港署に遊びにきていたので、顔なじみだった。 孝行 「こんばんは」 なおみ 「遅いよぉ。なにやってたの?」 孝行 「ごめん。あれっ、純二さん、なんでこんな所に?」 一係に意外な人がいたので、孝行は驚いていた。孝行は純二が刑事ということは知っていたが、勤務地までは知らなかった。
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