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あいつとは、同級生の竹本孝行の事である。二人は幼なじみということもあって仲がいい。
港署一係、午後5時。もうすっかり歓迎会の準備も整っていた。
英雄
「邪魔するよ」
藤本
「あっ、署長。お忙しいところ……」
西田
「あれ?署長、なおみちゃんは?」
早く憧れのなおみに会いたい西田は、いつもなら英雄の後ろについて来るはずの、なおみのことを心配していた。今日は孝行を誘っているので、時間に遅れたのである。
英雄
「ああ、なおみならもうそろそろ来ると思うんだが…」
しばらくして…。
なおみ
「こんにちは、遅くなりました」
西田
「なおみちゃん、久しぶり!最近ちっとも来てくれないから。この間の事まだ怒ってる?」
なおみ
「西田さん、…怒ってるんじゃなくて、西田さんに会うのが照れ臭いだけで…」
西田
「よかった。嫌われてるんじゃないんだ」
なおみ
「…うん」
なおみは以前、西田に頼まれて一度だけデートしたことがある。もっともそれは強引にだが、その後、西田に告白され交際を申し込まれたが、断っていた。
しかし、西田は諦めていない。
その時、純二がなおみに気がついて声をかけた。なおみは驚いて振り向くと、そこには純二が立っていた。
純二
「やぁ」
なおみ
「あっ、竹本さん!どうしてここに?」
純二
「今日から港署勤務になったんだ」
なおみ
「よかったぁ、また会えた。あっ、昨日はどうもありがとうございました。私、北原なおみと言います。これ、よかったら食べてください」
なおみは、今日城西署へ持って行ったクッキーを改めて純二に渡した。
純二
「あ、ありがとう。北原というと……」
英雄
「私の娘だ」
純二
「ええっ!そうだったんですか」
純二となおみが顔見知りなのを知って、西田は二人の関係が気になり、なおみに聞いてみる。
西田
「なおみちゃん、こいつの事知ってるの?」
なおみ
「うん。昨日引ったくりにあっちゃって、それを助けてくれたの」
そこへ孝行が入ってきた。孝行もよく港署に遊びにきていたので、顔なじみだった。
孝行
「こんばんは」
なおみ
「遅いよぉ。なにやってたの?」
孝行
「ごめん。あれっ、純二さん、なんでこんな所に?」
一係に意外な人がいたので、孝行は驚いていた。孝行は純二が刑事ということは知っていたが、勤務地までは知らなかった。
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