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「ぁあ!……ぅぅ!………ぅがぁ……ぃ…てぇ………ぐぞが………」
「統夜!」
咄嗟に背を向けてしまった少年の背中には、背中全体に血が滲んでいる。
「背を見せるとはな。その傷を恥だと思え」
「統夜!逃げなさい!」
その瞬間、少年は走った。
服を黒こげにしながらも、全力疾走した。
後ろを一度も振り返らずに。
「逃がさない。これで即死だ!」
少年は、今までの事を思い出しながら涙を流した。
死ぬんだ、と悟ったのだ。
だが、いつまで経っても斬撃がこない。
少年は後ろを振り返ることも出来ずに、ただ走っていた。
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