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少年は河原にいた。
何かする訳でもなく、背中の痛みに耐えながらただジッとしていた。
それでも、頭の中ではさっきの映像が何回も何回も繰り返し流れていた。
あいつは誰なんだ。
何で村が焼かれていたんだ。
みんなは無事なのか。
この先俺はどうすればいいんだ。
「おい!あれって生き残りじゃないか?」
「そうみたいだな」
「まさか、まだ生き残りがいたとは。それに、まだ若い」
歩み寄ってくる2人の男。
少年に向ける視線はわずかながらも殺意がこもっている。
少年はそれに気付きながらも、何もできないでいた。
「仕方がないだろ。命令なんだからな」
今度こそ殺されるんだ。
せめて、敵の正体がわかるなら。
村の仇をとりたい。
母さんの仇をとりたい。
力が欲しい!
『じゃあ、力を貸してやろうか』
「え?」
諦めかけた少年にどこからか声が聞こえた。
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