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「……うっ……ん…」
少し寒かったせいで俺は目が覚めた。
どうやら俺は生き延びたようだ。
「知らない天井……じゃないな、車の中か」
外を見ると、既に暗い。夜になっていた。
外の空気を吸いたくなり、とりあえず車から降りた。
そこまできて、やっと気付いた。
「あれ?俺無傷だ…」
そう、自分が無傷で済み、しかも平然と車から降りていた事に。
更に驚きがあった。
車を見る限り、これといった凹みや傷が全くなく、ボンネットを開けてエンジンを見ても、ピカピカの新品状態だった。
おかしい。
そう思うしかなかった。普通なら、自分はともかく、車までこんな状態で済む筈がない。
あの崖は、車の大破は確実、自分もただでは済まないくらいデカかったはず。
あれは長い夢だったのか。もしそうだとしても、なぜこんな場所にいるのかという疑問が残る。
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