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しばらくして
『どうした~ギン。もう起きたのか?』
ドアの向こう側から、ガチャガチャという音と一緒に男性の声が聞こえた。
「キュ~!」
『はいはいちょっと待てよ。片付けてんだから』
子供ドラゴンとドアの向こう側にいる人の会話が終わってからしばらくすると、ところどころが汚れた服を着た男性が出てきた。
一瞬だけ見えたドアの向こう側から、黒い乗り物みたいなものが見えた。
「どうしたギン。
おっ、君やっと気付いたんだ。とりあえず、これで体拭いておきな。
捕まってる間、風呂も入れなかっただろうしね」
いきなりのことで、お礼を言うのを忘れていた。
そんな私に、彼が部屋の隅にある置物からタオルを出して、渡してきた。
タオルを渡してきたのはいいけど…………、
「あつ…」
「あ、わりぃ。まだ熱かったか」
タオルがこんな風に熱くなっているのは初めてだった。
彼は私からタオルを預かると、ブンブン振って冷まし、また渡してきた。
今度は気持ちいいくらいの温かさになっていた。
「俺は隣の部屋に居るから、何かあったら呼んでね」
「はっはい……」
緊張していたせいか、上手く返事出来なかった。
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