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「でさ~、鉦篤(かねあつ)のヤツがさ~」
男が二人居た。
「まあまあ、そう言うな…翠村(みどりむら)さんだって、お前の事を思って言ってくれたんだろうから」
片方の男は二十歳位の背が高くて顔だちがいい…長い髪をポニーテールにしている。
「え~…そうかな~…」 一方、もう一人の男も、二十歳位で、先程の男と顔がそっくりである。…髪は短くしており、漆黒だ。……二人の名前は、龍泉と龍水…性は和泉屋(いずみや)……二人は双子で、共に二十歳の二人は、同室のアパートに住んでいる……ちなみに、二人の話に出てきている翠村鉦篤というのは、特に龍水と仲が良く、二人が通っている知覧(ちらん)大学の同級生だ。…礼儀正しい龍泉は、鉦篤が同級生にも関わらず、さん付けをしている。
「ああ、きっとそうだよ。」
鉦篤がうるさいという弟に対して、柔らかく微笑む兄。
「……ま、そういう事にしとくよ。」
龍水も微笑み返すが、欠伸をひとつ。
「…眠いのか?」
とは言いつつも、時計を見る龍泉…時刻はもう丑三つ時だった。
「ハハッ…話しすぎたな」
龍泉が困った様に笑うと同時に、兄にもたれかかる龍水。
「水(すい)?…寝てる…」
弟の幸せそうな寝顔を見て、龍泉は微笑み、ベッドに連れて行った…
―翌朝―
「…ん……ぅ…」
龍水が目を覚ますと、何故か隣に兄が……いつもは別々のベッドに寝るのに。
「……泉(せん)?」
余程疲れていたのだろうかと、兄に顔を近づける。
「?」
そこでふと、違和感に気づく。
「………うわっ!」
よくよく自分の体を見てみると、何と、裸だった…兄も。
「…ちょっ……泉!」
真っ赤になりながらも、慌てて兄を起こす。
「…ん…ぅ……どうした?」
ゆっくり起き上がる龍泉。
「どうしたじゃないだろ!?何で俺ら裸なんだよ!」
シーツで体を隠しながら怒鳴る。
「…何でって…?」
そう言われるなり、龍泉は、龍水の耳元に口を近づけて、
「…ヤったから」
と言った。
「…!?」
囁かれるなり、真っ赤になる龍水。…龍泉は、弟の反応に満足したのか、クスリと笑い、
「……好きだよ…水」
と言うと、キス。
「っ!?」
反射的に目を閉じる龍水だったが、目を開けた時には、兄は服を着始めていた。…何事も無かったかの様に。
「(…~)」
一人、兄に言われた事を思い返している龍水であった…。
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