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僕は考える、世界の終わりを。
この場所からあの場所へ行くにはどうすればいいのか? それが、さっぱり解らない。右から左へ頭の中を素通りするように解らない。卵が先か鶏が先か、それより、世界の始まりはどうなっていたか? と考えれば考えるほど不安になるが解らない。
そろそろ、帰ってこないかな。
ボロボロで染みだらけの布団、今日でこんな生活も終わる。
よく解らないけれど、きっといいことにきまってる。だって、こんなにドキドキするんだから。
ガタガタとドアを揺する音。
帰ってきたんだ。僕が開けないとおんぼろのあいつは開かないんだよね。でも、いつもこんなにガチャガチャやってたかな?
すこし不思議に思ったけど、僕はドアを開けた。
生ぬるい風に急かされた砂埃が汗ばんだ体に引っ付く。
「お帰り」
……いない?
「うわ、くっさ。なんだこいつ」
黒い服を着た大勢の男たちが、口々に文句と嗚咽を漏らす。
失礼だよね、二ヶ月前に入ったばかりなのにさ
。
そのなかで、先頭の一人だけは微動だにせず僕をみている。長い睫毛と切れ長の瞳…男の人? って思ってしまうほど綺麗な顔。憧れるけど、嫌な感じ。
「つれていけ」
急いでドアを閉めようとしたけど、間に合わない。後ろにいた人たちが文句を言いながら僕を掴む。抵抗しても、全然歯が立たない。
「放してよ」
痛い、何で? 全然わかんない、
「知りたいことがあるなら、兄にでもきくんだな」
「兄さん? どこにいるの?」
「すぐに会えるさ……いくぞ」
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