始マリノ風

2/2
前へ
/2ページ
次へ
僕は考える、世界の終わりを。 この場所からあの場所へ行くにはどうすればいいのか? それが、さっぱり解らない。右から左へ頭の中を素通りするように解らない。卵が先か鶏が先か、それより、世界の始まりはどうなっていたか? と考えれば考えるほど不安になるが解らない。 そろそろ、帰ってこないかな。 ボロボロで染みだらけの布団、今日でこんな生活も終わる。 よく解らないけれど、きっといいことにきまってる。だって、こんなにドキドキするんだから。 ガタガタとドアを揺する音。 帰ってきたんだ。僕が開けないとおんぼろのあいつは開かないんだよね。でも、いつもこんなにガチャガチャやってたかな? すこし不思議に思ったけど、僕はドアを開けた。 生ぬるい風に急かされた砂埃が汗ばんだ体に引っ付く。 「お帰り」 ……いない? 「うわ、くっさ。なんだこいつ」 黒い服を着た大勢の男たちが、口々に文句と嗚咽を漏らす。 失礼だよね、二ヶ月前に入ったばかりなのにさ 。 そのなかで、先頭の一人だけは微動だにせず僕をみている。長い睫毛と切れ長の瞳…男の人? って思ってしまうほど綺麗な顔。憧れるけど、嫌な感じ。 「つれていけ」 急いでドアを閉めようとしたけど、間に合わない。後ろにいた人たちが文句を言いながら僕を掴む。抵抗しても、全然歯が立たない。 「放してよ」 痛い、何で? 全然わかんない、 「知りたいことがあるなら、兄にでもきくんだな」 「兄さん? どこにいるの?」 「すぐに会えるさ……いくぞ」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加