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腹いっぱい食べた後は、缶ビール飲みながらダラダラと過ごす。取り留めのない会話が楽しくて。いい夜だなぁ、なんて思った。 「ご機嫌だねー?」 「うん。たのしいもん」 「オレも、うれしい。」 「うれしい?って、なんでだ?」 「こんな風に一緒に過ごせるのが、すーごくうれしい」 「一緒って、俺と?」 「そうだよー。こんなに近くに居られて、ラッキーだなーって思ってるよ」 距離を詰めて、体がぴったりくっ付いた。そうして、こっちを見てにっこり笑って見せる。 「ねっ!」 「う…、まあ…そーだな、」 なんとなく居た堪れなくて、その場から離れるべく立ち上がった。 「なあ、次なに飲むー?」 「同じのでいーよー」 「はいよー」 わざとらしく無かったかな、不自然に思われてないかな。 体温に触れたことで早くなった鼓動。それが何を意味するのかは考えたくない。 だって、無理だろ。 平常心、平常心。頭の中で繰り返す。 「なんか変だね?」 「んー?そんなことねーよ」 「ふーん。ならいいけど」 その日はいくら飲んでも酔えなかった。 .
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