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「開いた!」
宝石箱の蓋を開いて、ニッコリ微笑む。
「針金一本で鍵が開けられるなんてすっごおい!」
一旦箱を閉め、今度は一人でやってみる。
箱はすぐに開いた。
「思ったより筋がいいな」
煙草を取り出して銜え、千聖は火をつけた。
「ホント?嬉しい!ね、響、凄いでしょ!」
「あのなあ――」
未央が反対側に座っていた響を振り向くと、響は呆れ顔で手にしていた雑誌をソファーの上に置いた。
「千聖、未央に変なこと教えるなよ」
響の批判に肩を竦め、千聖が黙ったまま足を組む。
流石響、十八歳。
未央の同級生で、学校では一応BFという事になっている。
少々勝ち気なところを除けば、ごく普通の家庭で育ったごく普通の高校生だ。
ただ、惚れた弱みで未央にはいつも一方的に振り回されているが――
「変な事?別に変な事じゃ無いと思うけど?」
未央は響の意図するところが分らなかったようで、首を傾げた。
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