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「サザキさん、寝てるんですか?」
サザキと呼ばれた少年はぐうたらにギルドのカウンターにうつ伏せていたが、かわいらしい声に反応して顔を上げ、振り向いた。
「うん?エマ?いや、寝てないぜ?
暇で仕方ねーんだよなぁ~あふぁあ~あ」
オレンジ頭の少年・サザキは言葉の最後に大きな欠伸をおまけする。
巫女服に猫耳猫しっぽ、茶髪のロングヘアーを靡かせて少女・エマは欠伸をするサザキに愛想笑いをした。
「そうですね、確かに暇ですね…。
ここの所、依頼もないですし…。
でも、平和なのはいいことですよ!」
「分かってるけどよ~
暇なもんは暇なんだよ~」
まるで子供のように駄々を捏ねるサザキの対処に困ったエマは辺りを見渡す。
そんなエマの目に白銀の髪に黒のメッシュが2ヶ所入った少年が映った。
「狼燕さん!」
狼燕はエマに気付くと同時にカウンターでだれている物体を見つける。
「……"それ"は?」
狼燕はカウンターの方を指差す。
"それ"とはもちろんカウンターにへばりつくサザキのことだ。
「とても暇してるみたいです…。」
エマは困り笑いを浮かべて答える。
カウンターにこんなもんがへばりついているというはた迷惑で理解しがたい状況でも笑顔を作るのはエマの人の良さからだろう。
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