死角の世界

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「裕翔、余計なこと言うなよ」 「え?」 「特に光に」 「…う、うん」 悲痛なまでな伊野尾の微笑に心臓を抉られた気がした。 「薮くん、すきになってごめん」 ふわりと笑う高木の中にも悲痛を感じた。 ああ、引っ掻き回したのも壊したのも、こまらせているのも裏切り者も、ふたりじゃない。 本物の裏切り者は俺と光なのかもしれない。 「知念に、薮の部屋に行くように言っとくから今日は高木とふたりにさせて」 「わかった」 「行こう、高木」 並んで歩くふたりに恐怖を感じた。 ふたりの姿に責められているという被害妄想ばかりが浮かぶ。 (視界に入るだけで恐ろしくて愛しい仲間) (願わくば死角の世界で暮らしておくれ) おわり
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