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飛び蜥蜴に向かって走り出した伊織と和花。
伊織の手には日本刀を模した機械の剣が、和花は両手に機械で模した少し大きめのナイフが握られていた。
この二人、いや、四人とも武器は手にしている。
しかし、鎧や盾等は装備していない。
その姿は戦いに赴く人間の姿では無いだろう。
伊織はカッターシャツにジーパン。
和花も白いワンピースにスパッツと完全に私服だ。
伊織が和花より先んじた、飛び蜥蜴が右前足を伊織に向かって振る。
それを伊織は跳躍して避けると、前転宙返りの要領で剣を振った。
切れ味は技術部のお墨付き、とは言ってもこの飛び蜥蜴、固い甲殻に守られているわけではないので、剣の切れ味と相成って、振った右前足を易々と切り落とした。
痛みに喚く、飛び蜥蜴。
次は和花の番だった。
ナイフを構えて跳躍すると、和花は飛び蜥蜴の背中に着地、着地際に右翼を、着地してから再度跳躍する際に左翼を切り裂く。
「こうなったらただの蜥蜴だな」
伊織が鼻で笑って呟く。
この四人には防具は必要ないのだ、正確に言うと、この四人だけではない。
伊織達の世代。
スペシャルと呼ばれる世代はある意味この時代に合わせて進化した人間で、非常に身体能力が高く、比例して戦闘能力が高い。
それには激しく個人差があるのだが。
さらに言ってしまえば、この世界に存在するモンスター達は非常に強力で、前時代の武具、防具では歯が立たない。
邪魔にしかならないのだ。
「ラストは花火か、弾丸の雨か」
「どうせならどっちも持っていってねい」
ルクスが拳銃を二丁。
セティアがライフルを構えた。
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