ヒーロー

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「よう。久しぶりだな。少し焼けた?」 放課後の中庭で彼氏のユージは、何事もなかったように自然に声を掛けてくれた 「焼けたかな?ユージのが焼けてんじゃん。ごめんね。海とか買い物とか。約束全部破っちゃって」 「良いさ。俺も夏休みは忙しかったんだ。メールとかもほとんどしなかったしさ。今日、別れ話されたらどうしようかって。ちょっとドキドキしてた」 そう言って照れくさそうに笑うユージは、やっぱりカッコいい 付き合って1年になるんだけど、いまだにドキドキしてる 世界の平和なんてどうでも良いから、ユージと一緒にいたいよ まだ夏みたいに暑いのに、夏休み前の湿気を含んだ親密な空気が無くなってて、なんだかユージが少し遠く感じる 「夏休みは何してたの?」 あたしは背中に生えた無骨なジェット機みたいな羽根で南極から砂漠まで、世界を飛んでたよ 「色々。ユーコは?」 「あたしも色々」 秋のせいかな?秋のせいだって思いたい ユージが凄く遠く感じるのは、湿気が無くなったせいなんだ あたしの体が改造されたからって訳じゃない
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