初夏-呼び出し

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私の願いも虚しく今日のモデルもそういう子だった。 まばゆいばかりの照明の中で彼女は笑う。けど、それだけだった。私が撮りたかったものを作れるだけの力量が彼女には無かった。 こういう状況の時どうすべきか私は知っている。否、知っているというよりは仕事をしているうちに身に付けてしまったという方が正しいか。 こういう時、私は私のイメージよりもモデルの子自身のイメージにより近くなるように写真を撮る。クライアントが納得してくれるラインの作品を撮れば良い。 だけど、それは私とっては虚しい作業でしかない。私が撮りたいのはクライアントをあっと言わせるような作品。私にしか作れない作品を私は撮りたいのだ。
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