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扉を開けるとそこには、豪華なソファーに腰をかけ、どう見てもすでにほろ酔い状態の尚之がいた。
外見的にはあまり変わってないけど、昔の尚之にはとても想像できないタキシードのようなパーティー衣装を来ている。
「尚之(なおゆき)……お前、ちょっとは我慢しろよ……。
先に一人で酒飲んでるやつがあるかよ」
「お、光太!?光太か!懐かしいなぁ!!変わってねぇよお前!!」
大声ではしゃぎながら僕の背中をバンバンと叩く尚之。
変わってないのはお前もだよ。
会場内を見渡しても、尚之以外の面子は見当たらない。
「あれ……?みんなまだ来てないのか?
僕三十分も遅刻したし、てっきり一番最後かと思ってたのに」
「みんな社会人ともなると、色々忙しいみたいでなぁ。来る時間はまちまちだよ。ま、社会人じゃないやつもいるけどな!わはは!」
「それで待ちきれずに一人で飲んでたってわけか」
「ご名答!わはは!堅いこと言うなよ!光太も飲もうや!」
少し高そうなワインをグラスに注いで押し付けてくる尚之。
本当にこいつは何も変わってないな……。
お酒は苦手だけど、さすがに場はわきまえる。グラスを受け取り、いかにもキツそうなワインに口をつけた。
「光太……お前まだそのシャツ着てんのかよ。物持ちいいなぁ」
「勝手だろ、僕の」
僕は濃い紫色のワインを一口含んだ。
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