プロローグ

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「いや~、それにしても……」 顔を赤くして気持ちが良さそうな尚之がボソリと呟く。 「七年か……速いな。いや、早いな、か?」 「どっちでもいいよそんなの。てゆうか、感傷に浸るなんて尚之らしくないな。変な物でも食べたのか?」 「バッキャロー!七年もあれば、どんなやつでも変わるもんだよすっとこどっこい!」 いや。 やっぱりお前はおもしろい程になにも変わってないよ。 そのでかい図体も、無駄なハイテンションも。 多分……僕自身も。 何一つ変わっちゃいないんだ。 「光太……暑いな、今年も」 「夏だぞ。当たり前だろ。まぁ、今年は近年まれに見る猛暑だって、お天気キャスターのお姉さんも言ってたけどな」 「あの夏より暑いか?」 尚之が落ち着いた声で聞いてくる。 「さぁ……覚えてないな」 「わははは!!」 こいつも嫌らしいやつだ。 わざわざ答えのわかってる質問をぶつけてくるなんてさ。 続けて尚之が、小さな声で言った。 「あいつ、来るのかな?」 「来るわけないだろ、バカ」
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