2XXX年

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今この俺-亜希斗(アキト)-がいる2XXX年は,あの文献に書いてあった予想とは全く違うモノだった。 そもそもあの文献は馬鹿で自惚れた日本人が書いたのだろう。 こんな島国が・・・世界のトップだなんて,到底無理な話だったんだ。 時代が移り変わるにつれ,道徳的なモラルが崩れ,強者は弱者を支配し,国内はしだいに荒れ果てていった。 子供が親を殺し,親が子供を殺す・・・・そんな腐った社会なってしまった。 そもそも,まともな指導者がいないのに社会的規範を教えることは不可能だ。 しかし, どんな時代になろうとも,その腐った風潮に反する人民はいる。 そう・・・この時代にもいたのだ。 一人一人では小さな力で強者には太刀打ちできない。 しかし,その小さく非力な一人一人が集まり,知恵を振り絞り・・・ やがて強者とも対等に戦えうる大きな力となった。 俺達の希望・・・ それは「futurology」 意味は未来学・・・ 未来をよくするにはどうしたらよいのか。 俺達は考えた・・・ そしてある一つの答えが出た。 未来を変える・・・この現代を変える方法はたった一つ。 過去を変える・・・。 この方法を叶えるために俺達は何年も何年もかけて,過去へ行くための道具を作った。 しかし初めての試みであったために,成功する可能性は極めて低かった。 失敗したら,どうなるかわからない。 でも直感的にもうここにはもどってこれないだろう・・・ けれども誰かがやるしかないのだ・・・ だから俺が未来を変えるために過去を変える役に立候補した。 そして今,過去に行く装置を手の平に置き,スイッチを押した。 仰々しいを音と光を出し,空間を歪めた。そして,空間が裂けた。 俺はこの裂け目に体を屈めて,入った。 真っ暗で少し肌寒い。 俺はこのどうしようもない世界を後にした。
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