―後編―

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「用がないなら失礼する」 「あ……、ま、待って!」 戻ろうとする朝霞に、私は慌てて呼びかけた。朝霞は半身だけ振り返って私を見ている。 「あのっ、私、私……」 なんて言ったらいいんだろう。いつもお店では口説かれる側だった。 男の人に本当の気持ちを言うなんて、今までしたことない。だけど、早く何か言わないと行ってしまう。 「私っ、バージンだからっ!」 ロビー中に響き渡る声だった。皆が私を振り返る。だけどそんなこと、今の私は気づかなかった。 「ホントよ。誰とでもあんなことしないわ。あの……あの人には無理やりされて……。だから、私は……、あなたが……!」 「おいで」 朝霞が私の口をふさぐようにして引き寄せ、ロビーから連れ出した。
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