百絡の来訪者

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  「……っく、ひぃっく。人違いじゃ、……梓兄ぃを間違、う訳ない」  しゃっくりが止まらない。だけど、しっかりと彼を見る。  間違いない。  優しげな目差しを湛え、誰からでも好かれるであろう柔和な笑顔。  今は申し訳なさげに眉を下げているけれど、記憶の中の彼の三年後だとゆうは確信した。  だって、小さい頃から彼だけを見ていた。  神崎剣道場に通っていた5つも年上な彼、神崎梓。  親戚である彼がゆうのことを妹のように思っていることは知っていたが、恋慕の情を止めることは出来なかった。  
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