花信風を告げる人

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   素性の知れない子供なのだ。  そしてただの子供とは思えない剣術を見てしまったからには、何らかの密偵という思いも捨てきれない。  しかしながら、どうも本心から沖田を『梓兄ぃ』とやらだと思いこんでいるのがまた厄介で。  沖田はまた息を吐く。  まぁ、もともとそんな見え透いた偽りを吐いて、沖田を取り入れる訳がないのだ。ということは、本心からということになるのだが、それはそれで面倒なことになったと思う。 「……だから、私は沖田総司という者で梓とかいう人ではありません」  諭すために歩みを止めて、子供に向かい合った。  
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