花信風を告げる人

9/10
前へ
/116ページ
次へ
  「…………んなの」 「え?」 「そんなのわかってる!!  だって、梓兄ぃはこんなに優しくないもん! 豪快でやんちゃで意地悪するし、でも芯では暖かくって!  最初はそうだと思った! けど全然、性格が違うし、人違いだとわかったけど笑い方が同じなの!  こんなに似てるのに……!  やっと会えたと思ったのに、違うなんて……っ!!」  聞き取れず問い返した声をもかき消すように、子供が喚きだした。  張り詰めていたものが切れたのか、眦に涙を溜めて、けれど決して涙は流さないとでもいうように堪える顔。  
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

404人が本棚に入れています
本棚に追加