花信風を告げる人

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  「梓兄ぃが、いるならっ、が、がんば……!  ひっく、ここ、どこかわかんなくても、いるからだいじょ、ぶって、思えたのに……!」  自身でさえ何を口走ってるかもわからなくなってきたのか、泣きじゃくり始め、支離滅裂な言葉をただ吐き出していく。  胸のうちに燻っていた不安に急かされるようにして吐露する子供。  沖田は困ったとばかり、眉を下げて押し黙った――けれど、ふっと息をこぼして、手を差し伸べた。 「……すみません。心細かったんですね」 「ひっく、ご、ごめ――ごめんな、さい」  ごめんなさい、ごめんなさい。  ――押し付けて、ごめんなさい。  謝る子供の背を沖田はゆっくりと撫でたのだった。  
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