百絡の来訪者

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   彼女はごくありふれた存在だった。  平凡で、凡庸な性格。  好きなものがあれば嫌いなものがあり、好きな人がいれば苦手な人がいる。  そんな至って普通な高校生であった。  普通の高校生が持っていて当然の感情を、当然のように持っているのだが、どこか他の人間と比べ個性を持っているとすれば、親が剣道場の師範を務めているせいか剣道に秀でている点だった。  だけれど、それも彼女が中学を上がるまでの話。  彼女は年頃のせいか、剣道を厭い始めてしまったのだ。  小さい頃は熱心に剣道に励んでいたのだが、中学に上がってからは噸と執着を見せなくなった。そんな彼女の名は、神崎ゆう。  ゆうは、見知らぬ場所に立っていた。  
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