ゆくりかなる東風

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   けれど、彼は梓兄ぃではないのだから離れないといけない。  そう思っていただけに、彼の発言はゆうにとって衝撃だった。 「……一緒にいて、いいの?」  ぎゅっと彼の服の裾を握りしめる。  彼がどういった経緯で、言い出してくれたのかはわからない。けれどゆうには、彼だけが頼りだった。  どことも知れないこの場所。  すべてがゆうの存在を無視するというのに、彼だけが優しく目を向けてくれる。  
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