希代縁の結び目

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   すっげぇ、屋敷だ。屋敷。  あれから沖田に連れられ、街並を歩いていたが次第に人通りが絶え、見渡す限りの田園が広がっていったのだが、ドンッと構えた門扉の前に立ったのでゆうは目を輝かせた。  好奇心に促され、視線をあちこちへと散らしているとその様子を微笑ましげに沖田が見ていることさえも気が付かずに、ゆうは感嘆の声を上げた。  整えられた松の枝に、庭に点在する飛び石。  全てが全て、小さく主張しているにすぎないというのに、この壮大なスケールは何だろう。  予定調和のように整然とした美しさがそこにはあった。  
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