- 東風桜華伝 -

百絡の来訪者

　頭痛に自然と眉間に皺を寄る。

　何故だがどっと冷や汗が流れて、小刻みに身体が震える自分に驚いた。

　訳も分からない現象に戸惑い、気だけが焦り始めていたとき、背を撫でられた。

「どうされました？　ご気分でも悪くなされたのですか？」

　陽光から守るように陰を落としたのは、男性だった。

　逆光のため、顔がはっきりしないが声音から優しさがにじみ出ている。