Ⅰ 『穴』

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『・・・っっ!??』  大声で叫びたいのは山々だが、落下速度が尋常でないため声が出ない。  頭から真っ逆さまにしかも気をつけの姿勢で落下していたらさらにスピードが上がってしまうのでは?頭にはよぎるが手を広げたところでどうにかなる状況ではない。  グングン地面が近づいていく。森の隣に赤いお城が見えた。  このまま行くと森に落ちるか、お城に激突するかのどちらかだろう。木に突き刺さるのは嫌だし、かといってお城に落ちて木っ端微塵になった姿を見られるのも嫌だなぁ。  そんな下らないコトを考えれるくらい頭は冷静だった。  落下コースが定まった。森に落ちるようだ。  さようなら、お父さん、お母さん。良い娘じゃなかったな・・・。思い出に浸りながらそっと目を閉じる。 ・・・走馬灯は来ない。 カッ!と目を見開いた。これは夢だ。夢の中なら私は何でも出来るはず。空も飛べるはず・・・。 歌って現実逃避してみたが、変わらない。 _
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