逃亡

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 男は夜の道に馬を走らせている。  男の名は徐庶、字は元直。  今しがた町の役人を切り逃げてきたところである。  なぜこの男が役人を切ったか、この徐庶という男が義に篤いからである。  生年来の友人がこの度高官に推挙された。しかし、その友人が上司に賄賂を送らなかったため罷免された上に、告発を恐れ無実の罪で殺されてしまったのである。  徐庶は皆が寝静まった夜中に上司の邸宅に忍び込み仇を取った。しかし流石は町を取り仕切る役人だけあって警備は厳重。すぐに騒ぎが明るみとなりこうして追われる身となったわけである。
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