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子供の頃、墓参りの帰りに母が
「雲の上にはお父さんがいて、見守ってくれているだよ」
と言っていた。俺達が寂しく無いようにと、言ったのだろう。俺達は真に受けて、あの雲かな?嫌、あっちの雲かもしれない。
姉と妹と3人でずっと空の雲を指差していた
あるお盆の墓参りの帰りに母が
「さ、お父さんが煙になって帰ってきたよ。手を繋いで帰ろうね」
と言ったので迎え火は父なのだと子供の俺達はそう思った。
3人とも誰もいない所に向かって手を伸ばし、見えない父に手を繋いで貰った
「お父さんは私と手を繋いでいる!」
「違う、僕と手を繋いでいる!」
「いや、私とだ」
そんな喧嘩をしていたのをうっすら覚えている。
呆れた母が
「手は2本有るんだから片方ずつ交代で手を繋げば良いでしょう?」
と言ったのをなんとなく覚えている。
ならと姉か妹かは忘れたがどちらかと二人で狭い道の真ん中を開けて手を差しだし歩いた。
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