炭酸と寿司

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浮遊感。 体の中身がないみたいで気持ち悪い。それと同時に俺を引きつけてる引力。 そもそも引きつけてるのは本当に引力?それとも、下にいる喜色? 何をしても俺は自由じゃない。 ボスッ、と俺が暖かいものに包み込まれる。それは、以外とガッシリした喜色の腕で。 「今日もナイスキャッチ」 「なっちゃんだけは、絶対に落としたくないよ」 受け止める態勢から、腕に俺を乗せ子供を抱えるように抱え上げた喜色。 身長も力も、顔も負けてる、ただの平凡な俺としては別に気にしない。だけど、俺の中の何かが傷ついてるよーな…。 「ハニー、炭酸は?」 「ありまっせー!ダーリン」 「……ハニー、君が怖い」 俺は袋をガサガサと音をたててやって、持っていることを知らせる。 念のため、落下防止のため、喜色の髪を抜くため、俺は喜色の髪を掴む。 綺麗に染めやがって、このやろー。俺なんか茶色しか似合わねーっつうの! 「なっちゃん、痛い」 「ゴメン、わざとだよ」
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