炭酸と寿司

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髪を持っていた俺だが、本当に痛がられたので結局、髪が掴めないならと自分で歩くことにした。 なんていい子なんだろうね☆ 「あ、ヤベー」 「どしたの?」 屋上はもう目の前、というところで俺は重大なことに気づいて足を止めた。 俺としたことがーー…。 「…教室にコーラ忘れた…」 「いいじゃん、手には炭酸いっぱいあるんだし」 「うん………でも…」 今はコーラの気分なんだ。しかも、新しいコーラじゃなくて、あの飲みかけのコーラ。 絶対、放置してたら炭酸抜けてるよ…。 「そう可愛い顔しないの」 「してない。眼科行け」 「コーラ、俺が取って来てあげるから、先に屋上行ってて」 「マジ☆?」 俺がパッと明るい顔を向けると喜色はにこりと笑った。 べ、別に嬉しいわけじゃなんだからねっ…! いってきー、と手を振って教室に戻って行く喜色の後ろ姿。馬鹿のくせしてルックスだけはいい。 「まぁ、平凡が一番だねー☆」 炭酸を両手に持ち直すと、俺は屋上に向かって歩いた。 ここの屋上は、屋上に着くまでがちょっと薄気味悪くて人気がない。使われてない音楽室の前を通ったり、ドアのない教室の前を通ったり。 「ホント、薄気味悪いわねー」
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