294人が本棚に入れています
本棚に追加
髪を持っていた俺だが、本当に痛がられたので結局、髪が掴めないならと自分で歩くことにした。
なんていい子なんだろうね☆
「あ、ヤベー」
「どしたの?」
屋上はもう目の前、というところで俺は重大なことに気づいて足を止めた。
俺としたことがーー…。
「…教室にコーラ忘れた…」
「いいじゃん、手には炭酸いっぱいあるんだし」
「うん………でも…」
今はコーラの気分なんだ。しかも、新しいコーラじゃなくて、あの飲みかけのコーラ。
絶対、放置してたら炭酸抜けてるよ…。
「そう可愛い顔しないの」
「してない。眼科行け」
「コーラ、俺が取って来てあげるから、先に屋上行ってて」
「マジ☆?」
俺がパッと明るい顔を向けると喜色はにこりと笑った。
べ、別に嬉しいわけじゃなんだからねっ…!
いってきー、と手を振って教室に戻って行く喜色の後ろ姿。馬鹿のくせしてルックスだけはいい。
「まぁ、平凡が一番だねー☆」
炭酸を両手に持ち直すと、俺は屋上に向かって歩いた。
ここの屋上は、屋上に着くまでがちょっと薄気味悪くて人気がない。使われてない音楽室の前を通ったり、ドアのない教室の前を通ったり。
「ホント、薄気味悪いわねー」
最初のコメントを投稿しよう!