紙現術

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「ありがとうございました~!」 店員の声に送られてコンビニを後にする。 時刻はそろそろ夜中の1時を過ぎようとしていた。 その時 「和樹、あれを!」 急に華蓮が声を上げた。 「ん?…あれは…」 華蓮の視線を辿ると、そこには一人の青年がいた。 その格好はまるでマンガに出てくる典型的な勇者の物のようで、肩越しに剣を担いでいる。 「獲物か…華蓮、いつも通り頼むな」 「はい」 華蓮は頷くと胸の前で手を合わせて目を閉じ、妖力を練り始める。 「包囲結界…遮外の型!」 華蓮の目が開かれると同時に妖力が弾け、辺りにドーム状の光の膜が現れる。 膜は一気に広がり、周囲200m程を包み込んだ。 「結界、張りました」 「さて…さっさと終わらせるか」 そう言うと俺は青年の元へ歩み寄る。 青年はこちらに気付き、警戒した様子で声をかけてきた。 「この結界はお前の仕業か?俺に何の用だ?」 だがその問いに答える気はない。 代わりに俺はポケットから一枚のメモを取り出して、『ソレ』の名を呼ぶ… 「紙現の短刀!」 するとメモは一瞬にして黒い短刀へと変化した。 突然の出来事に青年は驚き、背後の剣に手を伸ばすがもう遅い。 俺は短刀を大きく振り抜き、青年を切り裂いた。 脇腹から肩へと斜めに切られた青年は、声を上げる事もなく地面に倒れた。 「よし、仕事終わり!」 直後、青年は「ポンッ!」という小さな爆発音と共に煙となり、中から一枚の紙が現れた。 それには青年そっくりのイラストが描かれている。 やがて紙は何かに吸い寄せられるかのように空へと舞い上がり、夜の闇へと消えていった。
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